流行のCMは時代を映す鏡 - CMソングの日 2018年9月7日 -

普段何気なく見ているCMも、実は時代ごとに流行があります。技術の進歩や人々の生活が反映されています。
CMは人々の心を敏感にキャッチし、心に眠った気持ちを引き出すのです。

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単なる商品やサービスの宣伝で終わらないCM

CMの興味深いところは、本来自社商品やサービスを広告宣伝する目的を持っているにも関わらず、キャッチコピーやファッション、音楽が、商品やサービスに関心がない人にまで広まると共に、時代を思い起こさせる記憶になっている点です。後年になってCMで流れていた音楽を聴くと、ふと幼少期や思春期の想い出が蘇ったり、CMを彩ったアイドルや出演者の顔が浮かんできます。

これはCMの持つ力であり、常に視聴者が何を求め何を感じるか追及してきた証でしょう。新しいものはやがて古くなる、それは確かです。しかし、その古さこそが当時を振り返るきっかけになり、むしろ斬新なCMを生み出すヒントになるでしょう。各時代ごとにどのようなCMが流行したのか、その特徴を見ていきます。

高度経済成長期から心の豊かさを求めた時代のCM

1960年代といえば日本の高度経済成長期。東京オリンピックが開催され、新幹線も開通しました。当時は生活様式も様変わりし、食品に対する考え方も変わったのでしょう。カレーやハヤシライスのCMが流行しました。またインスタントラーメンも発売され、時間に追われる人々にとって手軽に食べられる食品として流行し、CMで使用された「あ~らよ…」のフレーズは今なお耳にします。蚊取り線香のキャッチコピー「日本の夏~」が使用されたのもこの時期です。

1970年代は、60年代の経済成長が一段落し、仕事一筋ではなく心の豊かさに焦点が当てられた時代です。世界的俳優を起用したビールの「男は黙って~」や、新たな技術を導入したフィルムやカメラのCMが流行しました。

1980年代は、初期パソコンやワープロ、コンビニが登場した時代です。生活にゆとりが出た時代で、CMでもユーモアのあるキャッチフレーズが用いられ始めます。便器のCMでは、お尻を擬人化したフレーズ。禁煙用パイプでは、意味深な仕草とフレーズが世間の評判になり流行しました。

バブルが崩壊し、デフレ経済が継続した時代のCM

1990年代は、世間にお金が溢れていたバブル経済が崩壊し、国民の物質的熱狂が冷めた時代です。しかし、時代は新しい商品を次々に生み出していきます。有名電機メーカーがCMで押し出したサルのキャラクター「~でござーる」が人気を呼びます。この頃から商品とキャラクターを結び付ける広告が広がりをみせます。健康飲料のCMにおける「まずい~」のフレーズも斬新でした。従来CMは自社製品の長所を前面に押し出すところ、あえて反対の宣伝効果を狙ったところに面白味がありました。鉄道会社の旅行を促すフレーズ「そうだ~」など印象に残るCMがあります。

2000年になると、バブル崩壊からようやく経済が立ち直りつつありました。しかし、デフレや世界的な不況は継続し好景気とまではいきません。スポーツドリンクのエネルギーを燃やす「~系」を強調したCM。消費者金融のイメージを変える犬を起用したCMが人気を呼びました。その他英会話や携帯、外資系保険会社のCMでは、経済活動がグローバルになったことを印象付けました。

技術が成熟し、物質と心のバランスを求める時代のCM

2010年代は災害が多かった時代で、スマートフォンやタブレット端末といった個人が一台インターネットを携帯できる時代といえます。こうした時代には、さらに進歩した技術を伝えるCM。例えば、スマートフォンのOSを紹介するCMで海外有名シンガーの音楽が評判を呼び、流行しました。

逆に先端技術ではなく、人間味を強調するCMもあります。運送や郵便がそうでしょう。アニメーションさながらのフレーズを用いたネットゲームのCMも多くなりました。自動車メーカーが有名な俳優を起用し、ドラマ仕立てで新車の特徴を説明するCMなどは手が込んでおり、実際そういった点が評価され、賞を受賞しています。自然環境に配慮した製品が多いのも2010年代の特徴で、地球温暖化など人々の問題意識を汲み取る故であり、時代を反映しているといえるでしょう。

CMの流行を知ることは、人のニーズを知ること

流行するCMは、その時に何を人々が求め、歴史の中でどういった時代に位置するのかによって変化します。ですから、1960年代と2010年代では、自ずから流行するCMは異なります。またキャッチコピーも高度経済成長期の働くことが最優先された時代では、「時間」を意識したフレーズが生み出されました。

つまりCMの効果を最大化するためには、人のニーズに敏感に成らざるを得ません。人々の心に潜在している気持ちを掘り起こすことがCMの役割ともいえます。それだけに俯瞰して広くCMを眺めたとき、現在と異なる流行の歴史、製品の歴史、時事までありありと思い出すことができるのです。CMの面白さは、現在にだけに存在するのではありません。

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